サムネイル画像/Thumbnail Image

郊外風景

作家名西村千太郎 NISHIMURA Sentaro
制作年1929年
技法、素材油彩、画布
寸法50.4×61.0
分野絵画(日本)
所蔵作品登録番号JO201400005000
解説大正時代には草土社、光風会、春陽会が名古屋でも展覧会を開催し始めていた。『二科三十年』(美術工藝会、昭和18年)によれば、二科展が名古屋に巡回されるようになったのは、1927(昭和2)年の第14回展が名古屋市立商品陳列所で開かれたのが最初で、愛知県美術館が所蔵する長谷川利行の《酒売場》はこの14回展出品作のひとつである。その後、1930-31(昭和6-8)年に二科展の名古屋での巡回先は名古屋鶴舞公園美術館になる。かくして大正から昭和の初めにかけて、この地域の洋画壇と中央画壇との距離はいっそう近くなっていった。
 この作品は、大正末期から昭和初め頃の二科関係の画家たちの中でしばしば見られた、色面と線による佐伯祐三風の様式で描かれている。この作品は一九三〇年協会展の出品作であり、とりわけ西村は、同協会の創設者の一人であった佐伯に大きな影響を受けていたため、その傾向が顕著に見られる。
 二股に分かれた辻に、広い青空のもと左右に伸びる道を挟んで草の生えた広い空地と、その奥には家々が立ち並ぶ。道が左右斜めに伸びていく構図は、ファン・ゴッホ最晩年の《烏の群れ飛ぶ麦畑》(1890年)を連想させる。背景の森の部分からレンガ色の下塗りが見えていることや、画布の布目が見えるまでスクラッチしている部分があることからも、20代前半の若き画家が試行錯誤しながら画面にマティエールを作っていった様子がうかがわれる。

PageTop