坂口安吾の眼鏡―『朝鮮会談に関する日記』の原稿を見る 「Between Visible and Invisible」シリーズより

作家名米田知子 YONEDA Tomoko
制作年2013年
技法、素材ゼラチン・シルバー・プリント
寸法75.0×75.0
分野写真(日本)
所蔵作品登録番号JF201600030000
解説20世紀の著名人の眼鏡越しに、その人物にまつわる文書や手記などを撮影した「Between Visible and Invisible」は、1990年代から制作が続けられているシリーズである。ここで取り上げられている著名人達には「歴史に大きく翻弄された」という共通点がある。小説家坂口安吾は、戦時中の言論統制で表現にさまざまな制約を受けた。米田は、彼が実際に使用していた眼鏡越しに原稿を「見る」ことで、当時の歴史的背景や生活の一部分を垣間見、坂口の葛藤を表現しようと試みた。米田は「表面上のイメージ(visible)が、そこに浮かび上がってくる歴史上の事実、また登場人物についての認識など表面化のイメージ(invisible)と相関し、さらに新しいイメージを創りだすことを試みている」という。本シリーズの「見えるものと見えないもののあいだ」という邦訳は、米田の作品に通底しているものと言えるだろう。

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