Work "10"

作家名吉田克朗 YOSHIDA Katsuro
制作年1970年
技法、素材シルクスクリーン、紙
寸法71.8×75.2
分野版画(日本)
所蔵作品登録番号JP200900005000
解説吉田は作家活動を始めた1960年代末から、亡くなる直前まで継続的に約300タイトルの版画を制作しており、70年代初めまでの最初期はもっぱらシルクスクリーンを制作している。シルクスクリーンは、靉嘔などがすでに使い始めていたとはいえ、当時の日本では最新の版画技法であった。吉田は生の筆触を出したくないという思いから写真を使おうとするが、生の写真もしっくりこないということで、写真も使えるシルクスクリーンの技法を使うようになった。この作品は街頭で撮ったスナップ写真をもとにし、その写真に写った一人の映像をずらすという構成をしている。作家によれば「ものの関係をずらして世界を見せることを目的」にしたという。こうした「ずらし」を試みたこの《Work ”10”》は、《Work ”8”》や《Work ”9”》とともに1970年9月に制作されたもので、李禹喚が日本の作家を選定した同年11月の第1回ソウル国際版画ビエンナーレで、大賞の東亜日報賞を受賞することになる。吉田がシルクスクリーンを制作していた時期は、彼が立体造形作品を集中的に制作していた時期と重なっている。それらの版画は「基本的には立体作品と同様な考え方」で制作されているのだという。

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