鋼鉄による作品 #272

作家名久野真 KUNO Shin
制作年1975年
技法、素材ステンレス、板
寸法160.0×130.0
分野彫刻・立体(日本)
所蔵作品登録番号JS200100001000
解説石膏から始まり、鉄から鉛へと表現素材の変遷をみせた作家であったが、ニューヨークでの一年近い研究滞在を終え、帰国後の一時期金属から離れた作品を発表した。しかし、その仕事は短期的なものに終わり、1970年代からは再び金属を素材とした作品に取組んだ。そして、新たに登場した素材は、ニューヨーク滞在中に興味をもったステンレス・スチールで、錆びにくく一定の表情を保つという特性に注目したのであった。この作品は、そのステンレス・スチールを素材としたもので、突出感を強調する鋭角的な幾何学形態を不連続で不安定な構図のなかに配置し、不均衡のなかにもギリギリの線で安定を保つ空間を生み出すことを意図としたものである。作家は、西洋美術の一定の法則にもとづく合理的な造形思考を意識的に否定し、不安定、不調和な世界が生み出すもののなかに新たな絵画空間を求めたのであった。

PageTop