サバ二

遺産名(ヨミ)サバニ
資産概要漁民が使用した小型漁船です。横幅全長7m80㎝、高さは81㎝、奥行きは145㎝程あります。
サバ二はもともと一本の木をくり抜いて作られた丸木舟でした。沖縄では、松やクス・シイの木が船材に使われましたが、奄美地方では、イジュの木やタブの木も用いられました。
この船は、天城町松原西区の漁師が使っていたサバニと呼ばれる漁船で、1960 年代に沖縄の糸満で製造されたものです。その後、複数の材木をつなぎ合わせたハギ舟へと変わり、現在では強化プラスチック(FRP)製が主流です。船外機が導入されるまでは、帆や櫂など、自然の力や人の力が動力でした。サバニは、琉球列島の漁業従事者に古くから使われており、沖縄の糸満で漁業を習得し各地に居住地を築いた糸満系漁民との交流を経て、奄美地域にも広く普及されました。明治末期には、徳之島にも糸満系漁民が移住し、天城町の松原西区には糸満系漁民の居住区が築かれました。このサバニは松原西区に移住した糸満系漁民の子孫が実際に使っていたものです。
 松原西区の糸満系漁民は、サバニを用いて追込網漁や釣漁、刺網漁などを営んでおり、季節ごとに複数の漁業種を組み合わせて生計を立てていました。徳之島近海を漁場に、夏場はトビウオの追込網漁やイカ釣りをはじめ、アカマチ(和名:ハマダイ)やホタ(和名:アオダイ)、クロマチ(和名:オオヒメ)などの一本釣りを行っており、冬場はヒキ(和名:スズメダイ)やアカウルメ(和名:クマササハナムロ)の追い込み網漁などが行われました。
 このように、このサバニは天城町の漁業の移り変わりや、それにかかわった糸満系漁民の足跡を今に伝える貴重な文化財です。

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