穴あき雲(平土野上空)

穴あき雲 ( Hole punch cloud, Skypunch, etc. )

中分類空の現象
遺産名(ヨミ)あなあきぐも
資産概要空の高いところにある「うろこ雲」(巻積雲)や「ひつじ雲」(高積雲)に、円形や楕円形などの穴が開く現象。穏やかな天候のとき、水滴が過冷却(氷点下)になり、何らかの刺激によって連鎖的に氷に代わることによって発生する。

水滴で構成された雲が存在できるのは、上昇気流とともに、その場所の気温、気圧において湿度100%(飽和水蒸気量)を超えたときである。さらに安定した気流、気温により、雲の水滴が広範囲で過冷却=氷点下の水になることがある。その一部が、何らかの刺激=落下物や空気のゆらぎなどをきっかけに凍り始めると、周囲の湿度が下がり水滴は蒸発してしまうが、再び氷の表面で凝華(ぎょうか)/逆昇華=水蒸気から一気に氷として晶出することで、加速度的に氷の粒子を成長させる。大きく重くなった氷の粒子から落下を始め、凝華が次第に周囲へ広がり、初期の氷が降下する気流に引き寄せられていくことで、結果的に円形や楕円形に穴が開くことになる。また、中心部近くには、穴の原因となった氷が降下してできた尾流雲が残る場合が多いという。

大洋や大陸にある平原の上空など、気圧が安定し地表面に変化が乏しく、滑らかな地域では比較的発生しやすいが、国内ではあまり見られない現象と考えられる。写真は、2019年12月4日に天城町役場駐車場で撮影されており、東へ移動していたことから天城町西側の東シナ海上空で発生したもの。よく見ると、大きな円形の穴の左側に、小さい二つの穴が開いている。

※東シナ海は、喜界島東端と沖縄島北部の安田ヶ島を結ぶ線より西側となっている。従って喜界島東端以外の奄美群島は太平洋に面することなく、東シナ海上に位置している。

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