カツオノカンムリ

カツオノカンムリ ( Velella, By-the-wind sailor, Purple sail )

名称(ヨミ)かつおのかんむり
中分類クラゲ類
形態上から見ると扁平な楕円形で、長径5センチあまり。上部は青(あお)い透明な殻でできており、三角の帆のような薄く透明な突起がある。体は非常に薄く、刺胞のある触手は数ミリしかないが、刺されると激しく痛むので注意が必要である。
概要【分布】
世界中の暖海で見られる。風次第で広範囲に流されやすい。

【生態】
ヒドロ虫綱、花クラゲ目の群体性のクラゲで、猛毒(もうどく)のカツオノエボシと同じグループである。ひとつの個体に見えるが、個体が分裂ながら成長し一体となった集合体=群体であることも、カツオノエボシと共通である。私たちが目にするカツオノカンムリ自体は、雄雌が決まっているが繁殖はしない。群体がクローン増殖して産み出した、繁殖用の個体=Medusaeという数ミリのクラゲが放卵、放精する。おおむね、以下の4段階で増殖する。

1)卵からかえると、最初は細長い職種を持った細いイソギンチャクのような、ヒドラ状の幼生となり岩などに付着する。細胞分裂でなく無性生殖でクローン増殖ながら、それぞれの個体が違う役割の部品として機能しながら結合し、クラゲ的な体を構成しながら成長していく。

2)ある程度成長すると岩などから離れ、カツオノカンムリとして浮遊しながら、触手でプランクトンを捕らえて食べ、更に成長する。個体に見える群体は、雌か雄ばかりで構成されているが、この形態では繁殖できない。

3)成長したカツオノカンムリは、雌雄それぞれがクローン増殖でMedusaeという、数ミリの小さなクラゲを産みつづける。当然ながら雌は雌のの、雄は雄の小さなクラゲを産み、放っていく。

4)海洋に放たれたMedusaeの雌と雄は、3週間ほどで成熟。それらが放卵、放精することで、受精卵がConariaと呼ばれるヒドラ状の幼生となる。

クラゲは、4つの大きな分類「綱」からなり、似て非なる生物がクラゲと呼ばれている。また、例えば一つの卵がポリプとして成長し、さらに複数のクラゲへ分裂・成長したりと、一般的な動物はとは、生命の成り立ちが大きく異なるため、学習上の注意が必要である。ちなみに、クラゲのなかには老いて死を迎える時期になると、胚(卵の状態)にもどり、再成長してポリプとなり分裂してクラゲとなる不死の種も存在し、生命の常識を超える場合すらある。

【島内の目撃情報】
天城町では春先の3月から4月ごろ、松原漁港や天城町総合運動公園周辺に流れ着くことがある。
関連URLhttp://jellywatch.org/velella

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