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喜治沖のプロペラ

名称(ヨミ)きじおきのぷろぺら
遺産概要通称「ゼロ戦のプロペラ」と呼ばれる徳之島沿岸のダイビングスポットで、以前は沖合にあったものを、ダイビング業者が天城集落の喜治海岸(新徳之島発電所周辺)の沖、水深20mの海域に移動させた戦跡。その機種について調査を実施し、結果を「シリーズ天城遺産 その40」に掲載した。以下はその内容の詳細である。

機種特定についての調査内容は以下の3要素。
1)記録写真から得られる情報の分析と比較
2)太平洋戦争時の徳之島近海に沈む機体調査
3)プロペラとエンジンの構造分析と比較

1)による分析
・丸みのある金属製で3翅/3枚ブレードのプロペラ
・プロペラ機部のエンジンは7気筒/複列14気筒

2)による候補一覧(旧日本軍、旧連合国軍のうち旧米海軍の記録)
九七式戦闘機(陸軍)
九九式襲撃機(陸軍)
零戦艦上戦闘機(海軍)
一式戦闘機 (陸軍)
一式陸上攻撃機(陸軍)
三式戦闘機 飛燕(陸軍)
F6T ヘルキャット(旧日本軍による通称:グラマン)
F4U コルセア(旧日本軍による通称:シコルスキー)
SB2C ヘルダイバー(旧日本軍による通称:カーチス)

3)による分析と比較
・金属製で3翅プロペラ
・7気筒もしくは複列14気筒の星形エンジン
・吸排気に用いられる棒状部品の太さや角度

1~3)により、2機種に絞られる。
・零戦艦上戦闘機
・一式戦闘機

いわゆる「ゼロ戦」(零式艦上戦闘機)と、「隼」(一式戦闘機)は、それぞれ皇紀2600年(昭和15年/西暦1940年)と、皇紀2601年(昭和16年/西暦1941年)に、それぞれ採用された機体である。

ただ、上記のとおりゼロ戦と隼はほぼ同時期に開発されており、共通する国産・中島飛行機製の「栄エンジン」シリーズと、米国製の「ハミルトン・スタンダード可変ピッチ3翅プロペラ」を採用しているため、写真による情報からでは判別できない。

すなわち、いわゆる「ゼロ戦」か「隼」かの特定は、今後の精査に期待するところである。

なお、今回の調査した諸記録からはF4Fワイルドキャットが見つからなかったが、グラマン社が生産していたころは複列14気筒エンジンを搭載していた。だが、太平洋戦争中期以降はゼネラルモーターズへ生産が移され、シリーズ中もっとも多く生産された改良型のFM-2は、単列9気筒の星型エンジンに換装されている。

ちなみに、太平洋戦争末期、本来陸軍飛行場だった浅間飛行場は陸海軍双方から不時着用の飛行場として運用されたため、徳之島近海に不時着、墜落した機体が陸軍機が多いとは限らない。

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