1巻 p.112-113

ページ概要徳島市城山洞窟調査摘要
含まれる遺跡・寺院等城山洞窟
遺跡・寺院等の所在市町村徳島県徳島市
登場人物(記載ママ)鳥居龍蔵
記載年月日
翻刻[判読不可は■][p.112]
教画 16の5
徳島縣徳島市城山東麓
鳥居龍蔵 前田正一 森慶助 井上達三

徳島市城山洞窟調査摘要
位置    徳島市中ニ孤立スル城山東麓.
地質    周囲 沖積層 城山ハ結晶片岩系.
附近    北ノ方 三十町許リニ 吉野川.
      北麓ニ助任川.
城山    高サ30尺 而積8町2段餘歩.
      地質時代ニ於テ島ナリシ証トシテ、山麓ノ
      岩面ニ波浪浸蝕ノ痕跡アリ.
助力者   数名、1
岩窟附近  窟ノ東北方ニ貝塚 西方ニモ貝塚

洞窟    入口ハ狭カリシ.■(「然」か)シ自然ニ土ニ埋モル.
      奥行三十三尺(?33間?)
      覆土ノ厚サ約5尺 下ニユク程、天井ノ崩落シタル
      岩石重ナリアヒ居レリ.
      窟ノ断面、(横)三角形
窟内ノ構造 左ハ高ク床ノ形.
      右手ハ凹ム.自然ニカクノ如キ形 溝ヲナス
      床ニハ扁平ノ岩ナド並ブ
      床ノ方ニハ僅少ノ貝殻 石器.
      溝ノ方ニハ貝殻等多シ

[p.113]
鳥居先生の発掘講演をきく 大正11年6月15日

奥ニ㐧二室アリ、床アリ、自然ノ棚ナリ.
石器ノ未成品、炭、貝殻、魚、獣、鳥骨、アリ.
土器    アイヌ式
ドルメン式遺石 穴ノ前方、入口ノ前ヲ掘リタルトコロ.
        数枚ノ薄キ石ヲ積重ネ、上ヨリ一枚ノ大岩ヲ
        置キ、ソノ天井ヲナセル大岩ニ下ヨリ又一枚ノ
        大岩ヲ天井ニカケテ保持セシメアリ.
        此ノ下方ニハ壬垣ノ如キ自然石ヲシヰテ
        廻ラス、ストーンサークル(Stone circle)
        ヲ形成ス.此ノ周囲ニ弥生式土器(古キ)
        注意シテ視レバ一種ケールンノ如ク、
        天然石ヲムヤミニ積ミテドルメンヲ埋メ居リタ
        ルモノノ如シ.
        窟ノ中ノ遺物ハアイヌ臭キ所モアレド
        ドルメン中ノモノハ古キ弥生式系統
        ドルメン式ノモノハ窟中ノモノアリ稍後ノモノカ.
椿ノ葉     奥室ト前室トノ間、岩ノ上ニ小サキ扁平
        ノ石置キナラベラレ、其ノ下ニ椿ノ葉ト貝類
        ノ如キモノ一列ニ並ベラレテアリ.椿ハ尚
        青々タリ.
貝       穴中ノ貝ハ主ニ鹹水産

[翻刻者(所属は翻刻時)]大竹創(慶應義塾大学文学部 民族学考古学専攻2年)
[翻刻日]2021年2月27日
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ノート所蔵機関赤星直忠博士文化財資料館

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