略歴・解説
水野教雄は2010年に「陶芸練り込み」の技法で瀬戸市無形文化財に認定されている。日展と日本新工芸展において数多くの受賞・入選歴があるほか、中日国際陶芸展や朝日陶芸展などでも活躍し、長年に亘って当地域の現代陶芸を牽引してきた。
水野が取り組み続けてきた練り込みは、異なる色の粘土を重ね合わせ、変形させることで花模様や波模様を作り上げる技法である。それゆえ素地に絵付けをする他の技法とは異なり、完成時の模様の出方を想定した上で粘土を組む必要がある。これが練り込みの難しさであると同時に、魅力ともいえる。とりわけこの技法では同じ形状の模様が出来上がるため、水野は意図的に粘土の一部を押して模様に変化を生み出し、形態に即した装飾を心がけている。また、初期の頃から水野が得意とする特殊な形状の立体造形は、発泡スチロールを削り出した原型から石膏型を起こし、模様を配列した粘土板を型打ちしていくことで作り上げられている。それゆえ練り込み技法にもかかわらず複雑な曲面や稜線の組み合わせによる造形が可能となっているのである。
水野教雄(みずの・のりお) 略歴
1950年 瀬戸市生まれ
1972年 名古屋造形芸術短期大学彫塑専攻科卒業
2010年 瀬戸市無形文化財「陶芸練り込み」保持者認定
<主な展覧会ほか>
イタリア・ファエンツァ国際陶芸展 招待出品(4回)
1989年 世界デザイン博覧会
1990年 瀬戸市内高齢者総合福祉施設陶壁制作
1997年 ウイローふたば玄関口ビー陶壁制作
1997年 尾張旭市動労福祉会館 玄関口ビー陶壁制作
2001-02年 アーティスト・イン・レジデンスin瀬戸
2005年 日本国際博覧会「愛・地球博」EXPOドーム貴賓室、瀬戸会場
2022年 「ホモ・ファーベルの断片」
<主な受賞歴>
日展 中日賞(入選45回)
日本新工芸展 会員賞(受賞5回)、会員佳作賞、工芸賞(受賞2回)、帖佐美行記念賞、加藤卓男賞、松坂屋賞、中日賞
中日国際陶芸展 奨励賞(入選6回)
朝日陶芸展 ‘78賞(入選6回)
愛知県陶磁器工業協同組合理事長賞