略歴・解説
坪井明日香は1954年に富本憲吉に師事し、本格的に陶芸の道へと入る。初期は富本の影響を受け、新匠会において器物を中心とした作品発表を行っていたが、1966年に中国へ旅行し、数多くの古陶磁を見たことで、自身の進むべき道が土を通して率直に自身の気持ちを表現する立体造形の方向性であることに気づき、大きく方向転換をしていくこととなる。1970年代からは、とりわけ男性性が当たり前であった当時の陶芸界において、女性として女性性に真正面から向き合った作風を展開し、性別を超えて多くの作り手や鑑賞者に影響を与えた。とりわけ1960年代から70年代にかけては、第二波フェミニズムの真っ只中であり、その同時代的な動きは、陶芸にとどまらずこの時代の芸術表現として再評価をされるべきものである。
また、1957年に女性陶芸家の団体「女流陶芸」を結成し、陶芸界における女性の地位向上に尽力した。また作家として時代に即した表現を積極的に展開し、日本の現代陶芸史においても重要な役割を果たしたといえよう。
1932年 大阪生まれ
1954年 富本憲吉に師事
1957年 「女流陶芸」を結成。
1966年 訪中日本京都工芸美術家代表団として中国を訪問
1970年 「現代の陶芸—ヨーロッパと日本」に招待出品
1971年 「現代の陶芸—アメリカ、カナダ、メキシコと日本」に招待出品
1973年 73カルガリー国際陶芸展に出品、受賞
1980年 クレイワーク展に出品
1982年 個展「坪井明日香 陶の世界」を開催
1988年 京都美術文化賞受賞
1991年 京都市芸術功労賞受賞
1993年 「現代の陶芸1950−1990」に出品
2001年 「京都の工芸[1945-2000]」に出品
2004年 日本陶磁協会賞金賞を受賞
2010年 「坪井明日香展—わが心の軌跡—」開催
2014年 京都府文化特別功労賞受賞
2022年 逝去