横田典子

制作/生産地・窯・作者名(よみ)よこたのりこ
制作/生産地・窯・作者名(英語)YOKOTA Noriko
生年1983

略歴・解説

横田典子は2011年に女子美術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻美術研究領域立体芸術研究分野修了後、岡崎女子短期大学で教鞭をとりつつ作家活動を展開してきた。大学院時代は円柱や円錐、球体などの幾何学形態をモチーフにしたマケットを作成し、設計図を描いてそれをもとに実際の作品を作っていた。しかしやきものの特性上、どれだけきっちりとした形状を作り込もうとも、わずかな歪みやキレなどが生じる。このような課題にぶつかった際、横田は他の素材で作ることを考えたり、土で作ることの意味を考えたという。そのなかでこれまでの制作が土の性質を抑え込んで形を成立させていたことに気づき、2008年頃から決まりきった幾何学的な形状を作ることを止めようと考えた。そして土と人が協働して作り上げる「ツチビト」シリーズにつながる作品が生み出されていく。当初は自身と同じ重量の土をいくつかの塊に分けて積み上げ、押さえつけて造形にしていたが、徐々に技法が紐作りへ移行するなかで、土が潰れてできる曲面が強調されるような造形へと変化していった。横田は2011年に開催された第30回長三賞常滑陶芸展にこのシリーズの初期作品を出品し、審査員特別賞を受賞。審査員を務めた鯉江良二からも好評を得ている。
 現代陶芸において、土の特性を生かした有機的な形状の造形を手掛ける作家は数多く見受けられるが、その多くは土をコントロールするという考えのもとに成立している。しかし横田の造形は、自身の行為に土が反応して出来上がる土の自在性に対して、自らの意思を添わせたり反発させたりしながら作り上げていく。それは土と人が時に協働し、時に対峙するという対等に近い関係性によって導かれるものであり、この点において土と人とのかかわりを独自の視点から描き出していると評価できる。

[略歴]
1983年 神奈川県生まれ
2011年 女子美術大学大学院美術研究科博士後期課程
    美術専攻美術研究領域立体芸術研究分野修了

<主な展覧会>

2005年 朝日陶芸展
    神戸ビエンナーレ現代陶芸コンペティション
2009年 神戸ビエンナーレ現代陶芸コンペティション
    長三賞常滑陶芸展
2011年 やきものの現在 土から成るかたち PartVII
2014年 第10回国際陶磁器展美濃
2015年 日本陶芸展
2020年 あとあとのいま-猿投窯エリアの作家たち
2022年 やきもの現代考「内⇄外」
    「ホモ・ファーベルの断片」
<主な受賞歴>

2011年 長三賞常滑陶芸展 審査員特別賞

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