人面文壺形土器 附 線刻土器片

分類国指定
種別考古資料
所在地安城市安城町 安城市歴史博物館
所有者安城市
指定年月日H28.8.17
時代弥生
詳細解説本件は、線刻せんこくで人面を描いた弥生時代の壺形土器である。人面は、壺の胴部に細く鋭利な線で大きく描かれ、眼・鼻・口の周囲に幾重もの細線を充填(じゅうてん)し、また耳には耳飾りと思われる装飾表現もある。細かな破片が接合されて、顔面のほぼ全貌が復元された。
このような土器は「人面文土器」と呼ばれ、弥生時代の祭祀で、辟邪(へきじゃ)(=魔除け)の思想などを表した特別な土器と考えられているが、その全形をうかがい知ることができる例は稀である。また、表現の精緻(せいち)さにおいて群を抜く優品であり、人面文部分の遺存状態も良く、弥生時代の風俗を物語る貴重な資料である。
人面文壺形土器が出土した亀塚遺跡は、鹿乗川(かのりがわ)流域の沖積地と碧海(へきかい)台地上に南北約4キロメートルにわたって展開する鹿乗川流域遺跡群のほぼ中央に位置している。この地域には、国史跡となっている二子(ふたご)古墳、姫小川(ひめおがわ)古墳を始め弥生時代後期から古墳時代前期にかけての重要な集落遺跡、古墳が密集しており、三河のみならず東海地方を代表する拠点的な遺跡群の一つと目されている。
なお、亀塚遺跡からは、他にもヘラ状工具で文様等を描いた線刻土器片が多数出土しており、人面文壺形土器との関連性を考えるうえで参考となる資料であり、附とされた。

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