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02-06-02. 昔ばなしの広場「焼きいもの好きな馬」
資料ID | 108 |
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名前(読み) | ムカシバナシ ノ ヒロバ「ヤキイモ ノ スキナ ウマ」 |
名前(英語) | Horses that like roasted potatoes, a square for the folklore |
テーマ | みどりの散歩道コース |
コース | 02.東山貝塚・蛇崩川コース |
コンテンツ | 06.東山の馬頭観音 |
資料紹介 | 「嘉代、つらっていくかい?」 「いく。いく!」 私はおばあちゃんの作ってくれた刺子(サシコ)の手袋をはめ、毛糸の衿巻(エリマキ)をぐるぐるまいて外に出ました。昨夜畑からぬいたばかりの大根や白菜が積み荷です。馬のはく息も白い夜中の三時です。空には星がキラキラしています。 「それ」「いくぞ」「ガタン」「ポッカポッカ」馬は歩き始めました。私は荷台の後の棒につかまって歩きました。こうすると馬がひっぱってくれるようでつかれないのです。権之助坂(ゴンノスケ ザカ)を登って日吉坂をおりる頃、星が消えて、東の空にうっすらと赤味がさしてきます。私たちの行く先は神田の市場です。市場につくと大きな焚火(タキビ)にあたらしてもらいました。「食べな」なんて知らないおじさんからみかんをもらったりしました。市場のまわりは牛や馬や大八車(ダイハチグルマ)で混雑していました。 「いい値でうれたよ」父ちゃんがにこにこ顔でもどって来て、 「嘉代、乗んな」 積み荷のなくなった荷台に兄ちゃんと乗りました。馬は心得たように歩きはじめました。軽いのでどんどんいきます。魚籃坂(ギョラン ザカ)の下に来ると馬はピタリと足をとめます。「よしよし、買ってやっからな」 父ちゃんはいい匂いのする焼きいもを、ひとかかえ買って来ます。 皆に分けると残りは馬の分です。おなかがすいているのでこの焼きいもの味は何とも言えません。馬も同じなのでしょう。父ちゃんの手から焼きいもをもらっておいしそうに食べました。 満足したのか馬はフゥーンと大きな息をして三人を荷台にのせて歩き始めます。 「利口な馬だねえ。ここへくるとピ夕リと止るもんな」 「文さんとこの焼きいもがよほど気に入ってんだろ」 「またあしたな。おまけにもう一つ」こうして家の馬はスタスタと坂を登ったりおりたりしてちゃんと自分の家にかえります。家(ウチ)では、ばあちゃんのつくった熱いみそ汁が待っています。 |
データ利用条件 | 教育目的での使用については、権利所有者の許可は必要ありません。 |
コース紹介 | https://jmapps.ne.jp/9093/det.html?data_id=121 |
コンテンツ紹介 | https://jmapps.ne.jp/9093/det.html?data_id=106 |