M2890_130415_001, 2013/04/15撮影, Public Domain

富嶽列松図

作家名与謝蕪村 YOSA Buson
制作年江戸時代中期(18世紀後半), 安永7-天明3年(1778-83年)
技法、素材紙本墨画淡彩
寸法29.6×138.0
分野日本画(日本)
所蔵作品登録番号JJ200300520000
コレクション名木村定三コレクション / Kimura Teizo Collection
コレクション番号M2890
解説極端に横長な本図は、《夜色楼台図》(国宝)、《峨眉露頂図巻》(重文)と合わせ「三横物」と呼ばれる蕪村晩年の代表作の一つ。画面右寄りに真っ白な富士山の頂が浮かび、前景は連なる松林で埋め尽くされている。松の幹には代赭が塗られている。濃い松葉の線には藍が用いられ、松葉全体にも薄く藍が塗られている。因みに幹が赤い赤松は内陸部に多く、三保の松原を含め海沿いの松は黒松である。左に傾いて視線を誘う松の枝ぶりは次第に大きくなり、樹齢が高まっていくようである。なお背景を「暗澹とした雪空」や「どんよりとした曇り空」とする解釈も多いが、富士をくっきりと見せているこの濃い空は実は青空であり、松が白く霞む左端から雪や霧雨が降り始めているとみるべきかもしれない。この絵の季節を夏、時間帯を夜かとみる説もある。モチーフを絞り込み、時間や天候の変化も盛り込んだ本図は、画号の「謝寅」ではなく俳号「蕪村」で署名されている。「富士ひとつうづみ残して若葉かな」の若葉を松に置き換えたような風情とも言えよう。

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