対猴万年の図

分類美術工芸
作者鈴木華邨
解説 墨の滲みを多用しながらスピーディに描かれた松の上に、親子の猿が少し離れて座っています。松と対照的に毛の一本一本まで丁寧に、柔らかく描かれています。また季節は、松かさのあることから秋のことだと思われます。小猿が蜂をつかんでいますが、既に死んでいるようです。
 猿は、題名のとおり猴とも呼ばれ、中国では候(領主のこと)に音が通じます。また蜂は封(領地を与えられること)に通じるため、「候に封ずる」と読むことができます。従って、この絵の猿と蜂は、吉祥の象徴として描かれたもので、この絵は立身出世を願うために作られたものと考えられます。
 題名をわざわざ「猴」としたのもこのためでしょう。表装を茶系統で統一しているところも印象に残ります。

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