| 公開解説 | 長野県松本市生まれの草間彌生(1929〜)は、幼い頃から幻視や幻聴といった苦悩を抱えながら、絵を描くことによって自らを保とうと闘ってきました。地元の高等女学校を卒業後、京都で日本画を学び、松本・東京での個展を経て1957(昭和32)年に単身渡米します。主にニューヨークを拠点に巨大な絵画、ソフト・スカルプチャー(柔らかい彫刻)、鏡や電飾を用いた環境彫刻、ハプニング(パフォーマンス)など革新的な創作活動を次々と展開していきます。ニューヨーク・アートシーンで前衛芸術家として名声を高めますが、体調を崩し1973(昭和48)年に帰国します。その後も東京で入院生活を送りながらも精力的に制作活動を繰り広げ、2016年には「世界で最も影響力のある100人」(米『タイム誌』)に日本人で唯一選ばれ、世界を席巻し続けている類例を見ないアーティストです。本作は、ニューヨークから帰国後に取り組みはじめた版画作品のうちの一つです。草間の代表的なモチーフである水玉や網目などの形態を執拗なまでに反復させ、それらを集積することによってたわわに実ったぶどうの房が緑と黒の2色で表現されています。この独自の世界観は、彼女が幼いころから悩まされてきた強迫観念に由来しており、そのころから度々見るようになった幻覚を描きとめることで生み出されてきました。 |
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