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くるり棒(棒部分)

資料名(ヨミ)クルリボウ
地方名クルリ、ツタッカ、スタッカ
収蔵番号011573
使用地浦安
公開解説稲や麦、アワ・ヒエ・豆類などの脱穀に使用する道具。唐竿とも呼ばれるが、浦安ではクルリボウ、クルリ、ツタッカとも呼んでいる。浦安では、センバコギや脱穀機で脱穀した後、籾がよく取れずに稲穂がくっついたままになっている穂を、ツタッカと呼んでいる。そのままクルリボウ本体についてもツタッカと呼ぶことがあった。
 クルリボウは、柄と打つ部分、連結する部分からなり、柄を持って打つ部分を回転させる仕組みとなっている。打つ部分は普通、竹や木などを用いているが、浦安に残るものはほとんどが一本の木でできている。
 この資料も一本木である。「猫浦 ゼンベ次郎」との焼印あり。
 なお浦安で長く農業と営まれてきた西脇いね氏の著作には、次のような記載がなされている。
つたっか打ち
 「つたっか」というのは、稲こき(脱穀)の時、きれいに稲束から籾が離れない途中で穂先が切れてしまう、籾のついた藁屑をいいます。
 脱穀機の下に溜まった籾などをフルイでふるうと、籾は下に落ち、つたっかや藁くずなどがフルイの中に残ります。それを集めて大袋に詰め込んでおきます。稲こきの時には、それが相当出るのです。
 風のある天気の良い日、風向きをみて、両手にもったつたっかを振り落とします。重たい籾付きのものは下に落ち、軽いものは風で吹き飛ばされます。つたっかは溜めてしまうと場所を取るので、風があれば田んぼから上がってきた夕方でも遅くまで、つたっかの処理をしました。
 下に落ちた籾つきのつたっかは、筵(むしろ)の上でよく日に当て乾燥させます。
 そして今度は、地面の堅いところで「くるり棒」(竹と樫の棒の二本が互い違いになっている)で叩いて籾を落とすのです。やりつけないとなかなかうまく叩けなくて、また子供の背丈ほどある重い樫の棒を振り回すのですから、大変な仕事でした。
 つたっか打ちの上手な人は、唄を歌いながら拍子をとって叩いていました。立ちどまって見ている人もいました。私はそれが上手くできないで疲れてしまうので、つたっか打ちはきらいでしたが、つたっかを始末しないと、狭い物置には何も置けなくなるのです。
 何をするのでも、すべて手作業でした。足で踏んで、手で一束ずつ入れての昔の脱穀、きれいな籾にするまでは大変でした。それでも農家の人達は一粒の米でも粗末にすることなく、またフルイでふるって籾を分け、風でごみを飛ばし、最後の一粒まで手をかけていました。
 今では、稲田で刈り取りながら機械からお米になって出てきます。昔では考えられないこと、まるでおとぎの国へ行ったみたいです。」(西脇いね 平成25年<2013> 『浦安のかあちゃん農家』より)
使用年代昭和
キーワード農 脱穀

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