マタボウ 収蔵№001125

/3

また棒

資料名(ヨミ)マタボウ
地方名フリボウ
収蔵番号001125
使用地海(海苔養殖場)、浦安、当代島
公開解説ヒビや杭などを海中に建てるときに使用するもの。2人1組で前後にゆすり、海底に穴をあける。大田区の報告書『重要有形民俗文化財 大森及び周辺地域の海苔生産用具』(大田区立郷土博物館編集発行、平成7年<1995>)には「振り棒」として28点が国指定となっており、次のような解説文が掲載されている。

振り棒
「振り棒(フリボウ)」とは、ヒビを建てる穴を海底にあけるY字形の道具で、樫棒の先端に円錐の金具が付けられている。二股の柄を握り、振り棒の先を海底に突き込み、股部に足を掛けて揺すりながら2尺程、踏み込む。そして振り棒を抜くと同時にヒビの根元を差し入れる。
 この振り棒は『東海道名所図会』<秋里籬島 寛政9年(1797)>には「狼牙棒(ツクボウ)にて海底に穴を堀りて」とあり、『日本製品図説』<内務省・明治10年(1877)>、『東京捕魚採藻図録』<東京府勧業課・明治15年(1882)>と、『東京府管内水産図説』<東京府農商務課・明治23年(1890)>には、「ヒビキリ」の名称で図が添えて記されている。なお『日本製品図説』には、「ふり棒」と呼ばれていることも記されている。収集資料の振り棒は、背の立つ浅瀬で使われるもの(軸部長60.3㎝・全長182.3㎝)から、背の立たぬ水深で海苔下駄を履いて使うもの(軸部長257.4㎝・全長381.3㎝)まで様々なものがあり、最も短いものは「徒歩股(カチマタ)」と呼ばれていた。海苔下駄を履いて振り棒を使用する場合の組み合わせの目安は、下駄の高さより2尺ほど軸部の長い振り棒を使用することであった。振り棒を2尺前後、海底に踏み込んで、その股部が下駄の上面の高さになる状態が最もよいためである。

 浦安ではマタボウと呼ぶ。昭和13年(1938)の記録によると、浦安では海苔網と竹ヒビが行われていたようであるが、戦後はほとんど海苔網となり、また棒はほとんど使われなくなったとされる。
使用年代大正~昭和
キーワード海苔 市指定文化財 リニューアル展示候補

PageTop