トウミ 収蔵番号000785
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唐箕
資料名(ヨミ) | トウミ |
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地方名 | トウミ |
収蔵番号 | 000785 |
使用地 | 家、農作業場、浦安、猫実 |
公開解説 | 風力を利用して穀物の粒とくず粒、藁くずなどを選び分ける道具。日本には元禄時代(1688~1703)頃に中国から伝えられたとされる。構造は、穀物を流し込んで送り出す漏斗部、板の羽根を回転させて風を起こす送風部、及び選別用の胴部からなっている。この資料の寄贈者である西脇いね氏の著作には、「米こしらえ」の章があり、脱穀についての記載があるため、紹介しておく。 米こしらえ 雨が続いて外仕事が出来ず、妹と二人で籾すりを三日ほどやったので、籾殻とそのはがされた米(玄米)とが、だいぶ溜まってきました。米も籾殻も一緒に詰め込んだカマス(藁で編んだ袋)やアンペラ袋(麻の大袋)で、物置の中がいっぱいになってしましました。 やっと朝からお天気になったので、張り切って米ごしらえの準備にかかりました。作業場所にむしろを二十枚広げて、そこにトウミ(唐箕・とうみ)と呼ばれる、木でできた農機具を運びます。トウミは女二人でも持ち運びができますが、折り畳むことができないので、一年中、物置の奥にしまわれていました。 米と籾とを選別する、大事な役割の農機具でした。風を送って軽い籾殻だけ吹き飛ばし、お米だけが落ちてくるようになっています。一人が羽を手で回して風を送り、一人が籾殻混じりのお米をトウミの上部にある枡の中に徐々に入れていきます。米こしらえだけはひとりでは出来ないので、母ちゃんたちは、近所の人や友だちと、お互いに助け合って、米こしらえをしていました。 次は、選別したお米をマンゴク(万石とおし・まんごくとおし)と呼ばれる農機具に通し、更にきれいにします。マンゴクは真鍮の金網で、米を上から斜めに落とすようになっています。ゆっくり落とすと、粒の揃った米はそのまま下まで滑り落ちていきますが、小さな米やコザケ米など不良品は途中で落ちるので選別されるのです。ここで始めて米は商品となり、吟味されたお米をトオケ(斗桶・とおけ)と呼ばれる升で量ると、ようやく今年の収穫量がわかりました。 昔は何もかも手作業で、まるでわが子のように手をかけましたので、愛情もありました。 (西脇いね 平成25年<2013> 『浦安のかあちゃん農家』 エリート情報社発行、より) |
使用年代 | 昭和 |
キーワード | 農業 農具 稲作 |