東東洋筆 酒呑童子図屏風

公開資料名酒呑童子図屏風
解説作者:東東洋
制作年:江戸時代後期
技法:紙本著色
員数:六曲一双
寸法:各158.0×360.2
 平安時代、京の都に近い大江山で悪行を重ねていた酒呑童子を、武将源頼光一行が退治した物語を描きます。
 一見すると一続きの山水図のようですが、岩山等で空間を仕切り、『前太平記』を基にしたとみられる七つの場面を巧みに描き込んでいます。類似の図様は、東洋と親しくした四条派の絵師・呉春の屏風(京都国立博物館蔵)などに例がみられますが、本図は屏風絵の通例とは異なり、画面向かって左下から右へと物語が進行する点に特徴があります。
 童子の館で調理をするどこか愛らしく活き活きとした鬼たちの姿、討伐前後の凜々しさとは異なり童子を油断させるため山伏姿で緩んだ表情の頼光一行の姿など、東洋ならではの愛嬌ある描写に魅力が光ります。引いて全体を見れば画面の空間構成の妙に唸り、近づけば登場人物のユーモアあふれる描写に笑みのこぼれる、見所の多い優品です。
公開備考

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