解説 | 閻魔堂は大正5年8月号の第四次『新思潮』に発表された戯曲です。閻魔像が堕落した僧侶たちに怒り、最後には喰らうというあらすじです。 菊池の作品にしては珍しく奇抜な設定で、異色な作品ともいえます。「閻魔堂」は後に内容を大きく変えて「奇蹟」と改題し、短編集『我鬼』に収載されました。「奇蹟」は大筋は同じですが、閻魔像が人間に嚙みつかず、凄い顔で睨みつけてきたため僧侶たちが改心する、という終幕を迎えます。 原稿の余白には、芥川龍之介による漢詩、そして英単語の書き込みがみられます。新思潮同人としての近い関係性がうかがえる資料です。 |
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