赤い服と猫

番号1012
分野油彩等平面
作家名猪熊弦一郎 イノクマ・ゲンイチロウ
作品名カナアカイフクトネコ
制作年1949年
寸法縦:73.0㎝ 横:61.0㎝
材質油彩・カンヴァス
解説《鳥と少女》《ジプシーの子供達》はパリで、《緑影》《赤い服と猫》は、戦争を挟んで日本に戻り、アメリカに発つまでの間に描いたものである。ピカソとマティスを現代最高の画家として尊敬していた猪熊は、マティスに何度か自作を見てもらううちに、ますます彼から離れがたくなってしまう。その影響ははっきりと画面に見られるが、砂を混ぜるなどの工夫を加えたマティエール、猪熊らしさが表れつつある鮮やかな色彩には、どうにかして自分自身の絵画をつかみ取ろうと苦心する、若い画家の瑞々しい感性が表れている。

本作は、三越の包装紙「華ひらく」が制作された前年の第13回新制作派協会展出品作。
戦後、自由に描ける喜びのなか、無類の猫好きの猪熊は、12 匹もの猫と住んだ家中で寛ぐ妻文子をモデルに、いわばデザインのようなシンプルさで本作を描いている。この時期の彼を象徴する「猫」だが、やがて猫と人間を組み合わせたキュビズム風のユニークな群像に作風が至ることで、尊敬するマティスから
脱却するのである。(常設R2-1)

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