私クロスオーバー!

番号1945
分野油彩等平面
作家名松井えり菜 マツイ・エリナ
作品名カナワタシクロスオーバー!
制作年2019
寸法縦:112㎝ 横:145.5㎝
材質油彩・カンヴァス
解説大胆な構図と迫真の描写力による自画像を描く松井にとって、本作はやや変化球的な作品である。画面右半分の背景の引用元は、東山魁夷がこれ以上ないというくらい形を削ぎ落した構図による一本の道をモチーフとした代表作《道》(1950年、東京国立近代美術館蔵)であり、左画面奥にはセザンヌが繰り返し描いたサント=ヴィクトワール山らしき山がみえるものの、その手前は《道》と対照的であり、近代洋画風のタッチで石垣や鉄線に付着した絵具の塊とともに不穏な景色が描かれている。当の松井と言えば、双極に引き裂かれる、あるいは双方を抱え込むかのような体を成している。日本画と洋画というジャンル、近代と現代という時代といった美術における相克が現代を生きる松井の中で混じり合っているようにも見て取れる。
イギリスの友人からもらった風景写真をヒントに描かれた本作。松井は「見覚えのある道と見たことのない道が重なり合い一つの道となった時に過去の私と未来の私が交わり合う感覚を覚えた。これからの生活が確実に変わるであろう人生のターニングポイントである出来事を前に、歩もうとする道への期待と不安を描いている。」と語っている。

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