撮影:高橋章
供養之図 衝立
作品名カナ | クヨウノズツイタテ |
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番号 | 7888 |
分野 | 漆工芸 |
制作年 | 1933 |
作家名 | 磯井如真 イソイ・ジョシン |
材質 | 漆 |
寸法 | 高さ:151.5cm 幅:120.0cm 奥行:2.5cm |
解説 | 三曲の衝立である本作は、砥の粉と生漆を混ぜて作る錆漆で描く「錆絵」の技法を用いて制作されている。中央には、藤を背に真っすぐ立つ人物が、左右にはその人物を見上げるように雌雄の鹿が配置されている。背景の藤は、錆漆に水を加えたもので輪郭をかたどり、そこに色錆を充填して彩色され、地は麻布張りに金が箔押しされていて、磯井が様々な技法を駆使して制作したことが理解できる。枠は炭粉を用いた「ブロンズ塗」で仕上げられ、裏面には、鳳凰と瑞雲が錆絵で描かれている。 中央の人物は、右手に蓮の花、左手に香炉を持つことから瑠璃観音を表すのであろうか。また衝立の形はまるで仏立像の船形光背のような形になっており、供養之図というタイトルからも仏教的なモティーフを描いていることを窺わせる。その一方で、東洋古代全体に広がった「樹下美人」の構図も踏襲していたり、また藤と足元の菖蒲には、制作当時流行していたアールヌーヴォー風の意匠も取り入れられている。技法の面でも意匠の面でも、古典から同時代まで広く研究し、それを独自のセンスで作品に反映していたことが理解できる大作である。 |