新板浮絵浅草金龍山之図
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木版画 「伊勢屋利兵衛板 新板浮絵 江戸名所」 葛飾北斎筆(ピーター・モースコレクション)
西暦年(世紀)・月・日 | 1804年~17年頃 |
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元号年(時代)・月・日 | 文化初年から中葉頃 |
登録・指定 | 指定文化財 |
種別 | 有形文化財(絵画) |
ふりがな | もくはんが いせやりへえばん しんばんうきええどめいしょ かつしかほくさいひつ(ぴーたー・もーすこれくしょん) |
員数 | 12点 |
寸法 | ①縦24.2cm 横37.8cm ②縦24.6cm 横37.9cm ③縦24.6cm 横37.6cm ④縦25.0cm 横37.4cm ⑤縦24.7cm 横37.3cm ⑥縦25.2cm 横37.3cm ⑦縦23.7cm 横37.0cm ⑧縦24.4cm 横36.1cm ⑨縦24.6cm 横37.2cm ⑩縦24.7cm 横37.0cm ⑪縦24.4cm 横36.3cm ⑫縦26.1cm 横38.9cm |
所蔵者 | 墨田区 |
資料所在地 | 吾妻橋1-23-20 |
解説 | この連作は、葛飾北斎が描いた揃物(そろいもの)の江戸名所で、シリーズと考えられる13図のうち、コレクション中には浅草や三囲神社、牛嶋神社など12図が含まれます。紙や色彩、とりわけ空や寺社の屋根に使用された本藍(本藍)の保存状態が非常に良く、旧蔵者のモース氏がコレクション中で最も大切にした作品群といわれます。制作年代の比定は、落款「北斎画」によります。 「浮絵」と称する北斎作品では最後に位置づけられ、それまでは北斎が描いてきた浮絵とは異なり、典型的な透視画法を用いない作品もあります。一方で、俯瞰(ふかん)目線で自在に名所を配置することに特徴があり、北斎の風景画における早期の作品群として象徴的な位置づけがなされています。 ①新板浮絵浅草金龍山之図 現在も多くの人々で賑わう浅草寺(台東区浅草)の伽藍と境内を西側から俯瞰(ふかん)した構図で 描いています。 ②新板浮絵芝愛宕山遠景之図 東に芝浦を描き、芝愛宕山上(港区愛宕)から海を隔てて富士を一望する一図です。 ③新板浮絵や八ツ山花盛群集之図 品川宿にほど近い八ツ山(港区高輪)が花見客で賑わう様子が描かれています。向正面に羽根田とあ るのは、羽田弁財天が祀られる木立と考えられます。 ④新板浮絵亀井戸天満宮之図 藤の名所として知られた亀戸天満宮(江東区亀戸)と、その北側に梅の名所として知られた梅屋敷を 並べて描きます。梅屋敷は臥龍梅が有名でした。 ⑤新板浮絵三芝居顔見世大入之図 芝居小屋が浅草に移転する以前の顔見世興行の賑わいを描きます。文化年間は境町(中央区日本橋人 形町)に中村座、葺屋町(同)に市村座、木挽町(中央区銀座)に森田座がありました。 ⑥新板浮絵神田明神御茶の水ノ図 神田明神(千代田区外神田)と湯島聖堂(文京区湯島)の屋根を描いています。御茶の水はかつて名 水とされた井戸に由来し、その後、神田から湯島の辺りをさす通称となりました。 ⑦新板浮絵王子稲荷飛鳥山之図 桜の名所として知られた飛鳥山と王子稲荷(いずれも北区)の満開の様子、それを愛でる人々を描き ます。 ⑧新板浮絵三囲牛御前両社之図 隅田川沿いの名所三囲神社と牛御前(いずれも墨田区)、墨堤を歩く人々を描きます。牛御前とは牛 嶋神社のことで、江戸時代は長命寺の南側に位置していました。 ⑨新板浮絵富賀岡八幡宮之図 深川八幡として親しまれる富岡八幡宮と洲崎弁財天社(いずれも江東区)を描きます。 ⑩新板浮絵新吉原大門口之図 新吉原(台東区千束)の吉原大門を境に左手に仲之町、右手に新吉原を描いています。大門を中央に 大きく描いたことで、閉鎖的な町のイメージが効果的に表現されています。 ⑪新板浮絵日本橋肴市繁盛之図 日本橋肴市と江戸橋四日市(いずれも中央区日本橋)を描き、奥には一石橋が描かれていると考えら れます。 ⑫新板浮絵東叡山花盛之図 桜が満開の上野の東叡山寛永寺を右手に、不忍池と弁天堂(いずれも台東区)を左手に描きます。 |