セントポール
作品名よみ | せんとぽーる |
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作品名(欧文) | Saint Paul |
作者 | 栗原忠二 |
種別 | 油彩画 |
受入番号 | 361 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | O-005 |
員数 | 1 |
形状 | 額装 |
寸法(cm) | 80.0×100.0 |
材質 | キャンヴァス、油彩 |
材質英文 | Oil on canvas |
制作年(西暦) | 1916頃 |
制作年(和暦) | 大正5頃 |
受入年度(西暦) | 1981 |
受入年度(和暦) | S56 |
受入方法 | 購入 |
キーワード | 静岡、風景 |
解説 | テムズ川の南岸に繋留された2艘の荷船の間で、荷役人たちは荷積みと荷降ろしに余念がない。彼らの労働に和するように、橙色の帆が賑やかに翻り、サウスワーク・ブリッジの彼方にセント・ポール大聖堂が聳え、白雲が青空高く湧きあがる。この著名な聖堂に託して、作者はここで労働の聖化を絵画化しようと図ったのであろう。港湾労働者の躍動的な風俗表現は、1914(大正3)年の夏以来栗原が師事したブラングィンが得意としたところで、≪セントポール≫の構想も個々の描写も、この師の作風を抜きには考えにくい。帆を聳立させた荷船を前方正面から捉え、労働者群像をうねるように配する構図は、ブラングィンに数多いのである。渡英直後の栗原作品によく見られるように、ここでも画面は近景かち遠景までいくつかの平面層によって整合化されているが、他方作者は、彎曲する粗放な筆致と奔放にうごめく色彩で空間をブラングィン風に錯綜させ、そこに労働者のエネルギッシュな活力を孕ませている。だが白と青が爽やかに呼応するところなどには、ブラングィンにはない作者特有の詩的資質が窺われてよかろう。なおこの絵の素描習作2点が当館に収蔵されている。 1996年『静岡県立美術館コレクション選』、p. 105 |