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鴈門急雨図
作品名よみ | がんもんきゅううず |
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作品名(欧文) | Rain Shower at Yanmen Pass |
作者 | 平井顕斎 |
種別 | 日本画 |
受入番号 | 1651 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | J-350 |
員数 | 1幅 |
形状 | 掛幅装 |
寸法(cm) | 161.3×71.2 |
材質 | 絹本墨画淡彩 |
材質英文 | Ink with slight color on silk, hanging scroll |
制作年(西暦) | 19世紀半ば |
制作年(和暦) | 江戸時代後期 |
記銘、年紀 | (右上)「鴈門風落木 客舎雨連山 法李士達筆意写 松軒今井盟臺清鑒三谷山樵忱」 白文方印『平忱之印』 |
受入年度(西暦) | 2016 |
受入年度(和暦) | H28 |
受入方法 | 寄贈 |
キーワード | 風景、静岡 |
解説 | 李士達《驟雨行客図》(静嘉堂文庫美術館)の図様を用いた作品である。 鴈門は中国山西省にある、北に帰る雁が飛び越えることができないと言われる高山である。李士達《驟雨行客図》は高久藹厓、枚田水石の模本、村松以弘らによる翻案作が知られており、文晁周辺において規範とみなされた明清画のなかでもとりわけ重視された作品である。 原本と比較すると、本作に描かれた各モチーフは濃淡表現が強調され、モチーフの描写は平板化しており、人物などのモチーフは、顕斎画らしい特徴を備えている点が注目される。原本の特徴である、繊細な筆遣いによって光や大気を表す描写は看取されず、点苔や山肌に施された皴など、個々のモチーフの表現が分化し、点苔の濃墨と淡緑がそれぞれに強調されている。人物や樹木などのモチーフを描く筆致は手馴れており、原本を慎重に写しているとみなされる部分は無い。顕斎は、恐らく原本を模した模本、もしくはその重模本を参照して本作を描いているのであろう。原本を参照していないために、その繊細なマチエールを写す丹念な筆遣いは認められず、生き生きとした人物の描写や、彩色のグラデーションが明澄な樹叢の描写が示すように、思い切りのよい筆遣い、色遣いによってモチーフが描かれており、原本とは全く異なる特徴を備えた作品に仕立て直されている。 原本の表現から乖離し、図様のみ繰り返し転写される、文晁一派における古典図様の用い方を端的に示す作例である。 ※作品解説『平井顕斎展』(静岡県立美術館 一九九一年) 2019年『対立と融和―十九世紀の江戸画壇』リーフレット、p. 55 |