右隻

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賢帝図屏風

作品名よみけんていずびょうぶ
作品名(欧文)Mirrors of the good Emperors
作者狩野洞雲益信
種別日本画
受入番号1647
枝番号0
分類番号J-346
員数6曲1双
形状屏風装
寸法(cm)各163.8×362.0
材質紙本金地着色
材質英文Color on gold-leafed paper, a pair of six-fold screens
制作年(西暦)17世紀半ば - 後半
制作年(和暦)江戸時代前期
記銘、年紀(右隻右下・左隻左下)「狩野洞雲筆」 朱文変形印『松蔭子』
受入年度(西暦)2016
受入年度(和暦)H28
受入方法寄贈
キーワード人物、狩野派
解説武帝、成王など、中国の賢帝にまつわる故事を金屏風に描いた作品である。
右隻には、右方の楼台の上には堯(ぎょう)と思しき人物と臣下、その左には高士の一団が描かれており、桐に鳳凰などの吉祥モチーフが描き込まれている。右隻の画題は、天下を安定させた舜のもとに鳳凰が舞い降りた故事の可能性もあるが、いずれにせよ、鳳凰や麒麟などの霊獣を、賢帝として名高い堯・舜などとともに描くことが主題であると思われる。
左隻には、右に晋の武帝と杜預(とよ)の故事が、左に周の成王と周公旦の故事が描かれている。画面右、武帝が橋の造立を進言した杜預をねぎらうために、橋上で酒杯を楽しむ様子が描かれている。左隻右の図様は珍しいが、左の成王と周公旦を描く図様は、賢帝と功臣を楼閣内に描いた定型的な図様が用いられており、左右隻を合わせ、基本的には明君の故事を吉祥的なモチーフなどを交えて描く、桃山時代後期に流行した「帝鑑図」などの図様を援用した中国故事人物画とみなせよう。
人物の描写には、探幽様式を忠実に継承した顔貌表現や益信らしい顔貌表現が併用されており、探幽周辺で共有されたいくつかの図様を組み合わせて描かれていることが推察される。鳳凰などモチーフの描写は繊細で、彩色は上品であり、金屏風ということもあり、典雅で格調高い画風が特徴である。
一方、樹木や岩の描写には荒い筆致が用いられ、濃彩、濃墨を用いた重々しい表現に特徴がある。十七世紀半ば以降、軽妙洒脱な画風が基調となっていた江戸狩野派の画風にはそぐわない、古様な表現への関心が読み取れる点が注目される。
本作の主題、画面構成、華やかな彩色表現などには、桃山後期狩野派による故事人物図屏風の画風への回顧的な志向が認められる。益信画の様式展開を考えるうえで、また、十七世紀半ば頃の江戸狩野派における復古的動向を知るうえで興味深い作品と言えよう。

2016年『徳川の平和(パクス・トクガワーナ) ―250年の美と叡智―』、p. 186 より抜粋

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