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石橋のある風景

作品名(欧文)Landscape with a Stone bridge / Paysage au pont de Pierre
作者フランソワ・ブーシェ
種別油彩画
受入番号1523
枝番号0
分類番号O-210
員数1
形状額装
寸法(cm)56.0×80.0
材質キャンヴァス、油彩
材質英文Oil on canvas
制作年(西暦)1764?
受入年度(西暦)2010
受入年度(和暦)H22
受入方法購入
解説《石橋のある風景》と《水車のある風景》は、おそらく構想の段階から対になっていた。蒼白い光に包まれた《水車》は朝、空がピンクに色づいている《石橋》は夕方の光景であろう。どちらも現実にある特定の場所を描いているのではなく、ブーシェが想像力を駆使してアトリエで創り上げた、辺鄙な田舎の風景である。小屋、水の流れ、橋、樹木、洗濯女、牧夫、子供、鳩などは、ブーシェが好んで選び、構図に組みいれた小道具であった。
のどかで喧噪のない田舎での営みに、生きる苦しみは感じ取れない。腰をかがめ汚れ物を洗っている洗濯女がいるが、彼女たちの労働から重苦しい雰囲気は放たれていない。画面全体を満たしているのは、田舎の静けさと安らぎに他ならない。愉しく生きるために必要なものがすべて揃っている小さな世界、都会であくせく働く人たちが羨むような悦楽の世界である。
ブーシェは1740年代から洗濯女に関心を抱いていて、幾度も風景画に描き込んでいる。時には対をなす2作品に洗濯女と釣りをする女をそれぞれ配している。ブーシェは、洗濯女の労働と、釣りをする女の遊びとを対比させているのではなく、戸外での洗濯も釣りと同じく、気晴らしとなる営みと考えていたのだろう。ブーシェが描こうとしていたのは、人々をやさしく包み込む自然であり、古代以来ヨーロッパ文学の世界を流れる「心地よき場所locus amoenus」という考え方につらなるものであった。
ながらくフランスにあったこれら2点は、1930年代にアメリカに移り、その後シンシナティ美術館に収蔵されている。白と朱色の衣服を着た洗濯女は、強い視覚的印象を与えたらしく、シンシナティでは《石橋》のタイトルを‘The Washerwoman' としていた。彼女の衣服は色彩面でアクセントの役割もはたしていた。
《水車のある風景》の左前景の石には、ブーシェの署名と'1764'の制作年が書き込まれている。

2010年『平成22 年度静岡県立美術館新収蔵品 フランソワ・ブーシェ』

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