右隻
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四季耕作図屏風
作品名よみ | しきこうさくずびょうぶ |
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作品名(欧文) | Agriculture in Four Seasons |
作者 | 狩野永岳 |
種別 | 日本画 |
受入番号 | 1398 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | J-331 |
員数 | 6曲1双 |
形状 | 屏風装 |
寸法(cm) | 各163.5×357.4 |
材質 | 紙本金地着色 |
材質英文 | Color on gold-leafed paper, a pair of six-fold screens |
制作年(西暦) | 19世紀 |
制作年(和暦) | 江戸時代後期 |
記銘、年紀 | (右隻右下)「狩野縫殿助永岳」 朱文楕円印『岳』 白文方印『公嶺』 (左隻左下)「狩野縫殿助永岳」 朱文楕円印『岳』 白文方印『公嶺』 |
受入年度(西暦) | 2009 |
受入年度(和暦) | H21 |
受入方法 | 購入 |
キーワード | 狩野派、京都 |
解説 | 四季折々の耕作風景を中国風俗によって描いた作品である。 季節は右隻右端より左方へと春夏の景が展開し、左隻には紅葉が鮮やかな秋景を中心に、秋冬の景が描かれている。画中の田起し、田植え、稲刈り、稲束運び、籾摺り、俵運び、入倉などの一連の耕作作業は、基本的に中国の版本の図様を基に描かれており、たとえば狩野養信《四季耕作図屏風》(サントリー美術館)と比較すると、本作が漢画的な要素が濃厚な屏風であることが分かる。 本作は、そうした版本の図様とともに京狩野派らしい図様も描き加えており、さまざまなモチーフが描き込まれた、華やかで永岳らしい作品に仕上げられている。 本作には、狩野永岳《三十六歌仙歌意図屏風》(当館蔵)同様、目の覚めるような群青と金雲が用いられ、金雲はまばゆい輝きを放っている。細緻に描き込まれたモチーフは、隅々まで濃厚な彩色が施されている。人物の描写は細かく、耕作作業を行う人々の姿をはじめ、老若男女が描き分けられ、楽しげな表情の人々の姿が印象的である。樹葉や土坡の点苔はリズミカルに打たれており、画面に動感を与えている。 四季耕作図に珍しい表現としては、唐子の遊ぶ場面が描かれている点が注目される。右隻の唐子が遊ぶ場面は、左隻の主要な画題である祝宴の場面との対比を成しており、本作は吉祥的なモチーフに焦点が当てられているとみなされる。吉祥的な要素が濃厚な点は、養信の《四季耕作図屏風》と共通する特徴と言え、四季耕作図を描く際の同時代的な傾向を読み取ることができよう。 養信の《四季耕作図屏風》が大和絵的な空間表現を用いて描かれているのに対し、本作は異なる特徴を持つ。数多く伝来する江戸時代の耕作図屏風のなかでも、前景に巨岩が配され、中景に田園風景が展開し、後景に大山が聳えるという右隻の空間構成は特異である。左隻の画面構成も耕作図屏風としては珍しく、画面後方の山容と水景、画面前景の耕作風景は金雲によって分断されている。永岳が伝統的な四季耕作図と異なる山水景観のうちに耕作風景を描くことを試みたものと考えられよう。 ※高木文恵 作品解説『伝統と革新 京都画壇の華 狩野永岳』 (彦根城博物館 二〇〇二年) 福士雄也 作品解説『狩野派の世界2009』 (静岡県立美術館 二〇〇九年) 松本直子「『吉祥画』としての四季耕作図」 (『風俗絵画 の文化学3』思文閣出版 二〇一四年) 2018年『幕末狩野派展』、p. 179を加筆修正 |