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牡鹿啼く

作品名よみおじかなく
作品名(欧文)Stag belling
作者中村岳陵
種別日本画
受入番号1362
枝番号0
分類番号J-326
員数二曲一双
形状屏風装
寸法(cm)各163.6×162.1
材質紙本着色
材質英文Color on paper, a pair of two-fold screen
制作年(西暦)1930
制作年(和暦)昭和5
記銘、年紀(右下)「岳陵」 朱文長方印『岳陵』 (左下)朱文長方印『岳陵』
発表展第17回院展
開催年1930(昭和5)
受入年度(西暦)2008
受入年度(和暦)H20
受入方法寄贈
キーワード静岡
解説鮮やかな緑の土坡のゆったりとした曲線が心地よく、金地との対比が映える。金銀の切箔や野毛箔を散らしてさらに装飾的な効果を上げる一方、牡鹿や檜の描写には写実性が際立ち、それらがうまく組み合わさって力強い効果を生む。
深まりゆく秋の奥山で鳴く鹿は、秋の情趣の象徴、また妻恋の象徴として万葉の昔から歌に詠まれてきた。重なり合う土坡のかげから鳴くこの鹿にも、無論そのイメージが投影されている。左下隅から振り返り首を挙げて鳴く鹿は、物寂し気な声を画面中に響き渡らせるかのようだ。琳派に由来するゆったりした造形感覚や装飾性は、観者が和歌イメージを託して自由に想像力をはばたかせるだけのおおらかさがある。深山に鳴く鹿、という伝統的なテーマに新しい切り口で取り組んだ魅力的な作品。第17回院展出品作であり、昭和初期の岳陵の代表作のひとつに数えられる。

2005年『物語のある絵画』、p.34,91 に加筆修正

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