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溪山真楽図

作品名よみけいざんしんらくず
作品名(欧文)Landscape
作者福田半香
種別日本画
受入番号1284
枝番号0
分類番号J-308
員数1幅
形状掛幅装
寸法(cm)150.5×70.9
材質紙本墨画着色
材質英文Ink with color on paper, hanging scroll
制作年(西暦)1844
制作年(和暦)弘化1
記銘、年紀(左上)「甲辰冬十一月 半香福田佶寫」 白文方印『佶印吉人』 朱文方印『半香』
受入年度(西暦)2003
受入年度(和暦)H15
受入方法購入
キーワード静岡、風景
解説繊細な筆致で山水を描いた作品である。
半香の作品は、主に「天保描き」と呼ばれる、細緻に描き込まれた天保年間の作品の評価が高い。
本作は、半香の画風停滞期と見なされがちな崋山没後の作例であるが、天保年間の緻密な画風を受け継いだ優品であり、《李白観瀑図》(当館蔵)とは異なる特徴を有する点が注目される。
本作には繊細な筆致によって主山が表され、点苔や樹叢が細やかに描き込まれており、半香作品のなかでも描写密度の高い一点である。本作にみる細緻な描写、主山を真っ直ぐ天に向かうように描き、オーバーハングしない形態に表す点などは、清代の山水画のなかでも、正統的な画風の作品を学んだことを推察させる。また、複雑な画面構成に加え、淡彩を基調とした丹念な描き込みを特徴とする描写には、清代の職業画家の作品を学んだ可能性がうかがわれる。本作のような様式の作品は、明清の浙派系統の山水画を好んだ文晁や、山水画をあまり描かなかった崋山の作例中には見当たらず、半香が、文晁一派の画家としては珍しく、清代の文人画の正統的な画風による山水画を学ぼうと試みたことを示唆している。
本作は、半香が天保年間に描いた細緻な描写を特徴とする山水画様式からの展開を示すが、天保年間の山水画には認められない特徴が看取される。半香が天保年間以降に描いた山水画の優品として記憶されるべき作品である。

2019年『対立と融和―十九世紀の江戸画壇』リーフレット、p. 53

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