右隻

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猿曳き・酔舞図屏風

作品名よみさるひき・すいぶずびょうぶ
作品名(欧文)Lamdscape of Farm Village with Monkey Show
作者狩野安信
種別日本画
受入番号1248
枝番号0
分類番号J-297
員数六曲一双
形状屏風装
寸法(cm)各153.0×358.4
材質紙本墨画淡彩
材質英文Ink with slight color on paper, a pair of six-fold screens
制作年(西暦)17世紀半ば - 後半
制作年(和暦)江戸時代前期
記銘、年紀(右隻右上・左隻左上)「安信筆」 朱文方印『狩野』
受入年度(西暦)2001
受入年度(和暦)H13
受入方法購入
キーワード狩野派
解説右隻に太鼓などの音楽に合わせて酔舞する人々を、左隻に猿曳きとそれを見物する人々を描いた屏風である。本作の猿曳き場面の図様は、狩野探幽が大徳寺本坊方丈に描いた猿曳き図(現在は焼失)、狩野尚信が知恩院大方丈上段の間に描いた猿曳き図、伝狩野尚信《猿曳図》(東京国立博物館)などと共通しており、探幽周辺で盛んに描かれた図様であった。
本作と左右隻の構図、図様が共通する作品として、伝狩野尚信《猿曳・酔舞図屏風》(出光美術館)、伝狩野尚信《中国故事人物図屏風》(個人蔵)があり、両作品と比較すると、本作にはいくつかの変更点が認められ、左隻第一・二扇目の驢馬、左隻第五扇目の室内の人物などが省略され、より整理された空間構成となっている。この三つの屏風の図様は、樹叢と人物の位置関係、左右隻の場面を繋ぐ人物の配置などが狩野探幽《野外奏楽・猿曳図屏風》(筑波大学附属図書館)と共通し、狩野探幽《竹林七賢・香山九老図屏風》(当館蔵)にも類似点が指摘できる。三つの屏風の図様の淵源には、探幽が実見した、猿曳きや奏楽の様子が描き込まれている伝雪舟筆《琴棋書画図屏風》(永青文庫)のような雪舟系の唐人物図が想定され、それを基に、探幽が他の画題の図様やモチーフを転用し、風俗画的要素を取り入れることによって、本作のような図様を考案したことが推定される。
本作は安信らしい表現が希薄で、工房作である可能性も検討すべきものの、左右隻に描かれた四本の樹木の形態や力強く荒い筆致は、安信の代表作である《柳に野鳥図屏風》(大倉集古館)の柳に類似しており、描写の細部には安信風の特徴も見出せる。
探幽が確立した規範的図様を安信が普及させる役割を果たしたことがうかがい知れる作品である。

※野田麻美 作品解説『探幽3兄弟展』
  (板橋区立美術館・群馬県立近代美術館、2014年)

(2022年4月1日公開に合わせて執筆)

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