右隻

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西湖図屏風

作品名よみせいこずびょうぶ
作品名(欧文)View of Seiko
作者狩野尚信
種別日本画
受入番号1169
枝番号0
分類番号J-289
員数6曲1双
形状屏風装
寸法(cm)各152.8×347.6
材質紙本墨画淡彩
材質英文Ink with slight color on paper, a pair of six-fold screens
制作年(西暦)17世紀前半
制作年(和暦)江戸時代前期
記銘、年紀(右隻右上・左隻左上)「尚信筆」 朱文長方印『狩野』 朱文円印『藤原』 
受入年度(西暦)1998
受入年度(和暦)H10
受入方法購入
キーワード狩野派、風景
解説西湖は浙江省杭州の名勝地で、西湖と共に孤山や蘇堤、白堤などのランドマークを描き込む西湖図は、日本では室町時代以降漢画派によって好んで描かれ、狩野派の作品も数多く残っている。
尚信が描く本作は、狩野派作品の中でも元信落款のある《西湖図屏風》(出光美術館)に最も近いことが指摘されている。画面前景には杭州市街の城壁が描かれ、右隻には蘇堤、白堤や孤山、北高峰や霊隠寺など、左隻には小瀛洲、浄慈寺、玉皇山や南高峰などが描かれており、本作の構成は、基本的に出光美術館本と共通している。
本作と画風上の関係が認められる作品として注目されるのは、狩野興以《西湖図》(石川県立美術館)、狩野探幽《西湖図》(石川県立美術館)である。狩野元信《西湖図》(石川県立美術館)や出光美術館本には藍、岱赭、茶などの彩色が施され、表現が華やかであるのに対し、興以、探幽の《西湖図》は筆墨表現を基調とする点が本作と共通している。
本作は探幽の《西湖図》よりも彩色が抑えられ、モチーフを描く筆線は力強い。狩野派らしい明快な構図、華麗な彩色を用いて描いた元信様式の西湖図や、軽妙洒脱な筆墨表現によって描いた探幽の西湖図とは異なり、本作には、構築的な画面構成や力強い筆線といった、雪舟様式の山水画に通ずる要素が看取される。
一方、淡墨が紙に溶け込むように広がる墨面の表現などには、尚信らしい滋潤な墨遣いの特徴が認められる。
雪舟様式の山水画を規範としつつ、尚信らしい筆墨表現が用いられている点で、それまでの狩野派の西湖図とは一線を画した作品と言える。

※山下善也 作品解説『狩野派の世界―静岡県立美術館蔵品図録―』
  (静岡県立美術館、1999年)
 野田麻美 作品解説『探幽3兄弟展』
  (板橋区立美術館・群馬県立近代美術館、2014年)

(2022年4月1日公開に合わせて執筆)

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