帰り路(樵婦帰路)

作品名よみかえりみち(しょうふきろ)
作品名(欧文)Women Working in the Woods on their Way Home
作者太田喜二郎
種別油彩画
受入番号1062
枝番号0
分類番号O-114
員数1
形状額装
寸法(cm)122.0×115.0
材質キャンヴァス、油彩
材質英文Oil on canvas
制作年(西暦)1913
制作年(和暦)大正2
記銘、年紀(右下)K.Otta. 1914
受入年度(西暦)1994
受入年度(和暦)H6
受入方法購入
キーワード風景
解説京都西陣の織物商の出である太田喜二郎は、明治末年にベルギーのガン市立美術学校でエミール・クラウスに師事、温雅な点描技法による外光描写に習熟し、1913(大正2)年帰国した。≪帰り路≫は翌年の第8回文展に≪麥刈》《子守≫とともに出品され、二等賞を受賞した記念作。日本臭の濃い風俗モティーフをとりあげ、クラウス直伝の点描法を体系的に駆使したところに、欧風の新潮流を日本洋画壇に移植しようという、帰国直後の作者の気概が感じられる。点描技法の制約から、人物はシルエット化された生硬な形態性を示すが、それらは前後に配されて動感を誘い、補色効果に留意した賑わいだ色彩表現が画面に漲っている。そのツボを得た外光描写は評家の好評を博したが、技巧の模倣が表面的だとする批判も聞かれた。例えば本間國雄は「絵画は自己の修養に基く発明」であるべきで、「その発明なき表面の技巧は縦令(たとい)、それが如何に華麗なる色彩であるにもせよ、それは友禅の模様と同一価値」であると断じている。それゆえか、その後太田は組織的な点描技法を放棄し、伸びのある筆致で平明な写実に努めるようになる。---なお本作の古い写真によると、画面の下端・右端がもう数センチ分広く描かれており、額装の都合であろうか、或る時期に画面が切断されたことが推測される。

1996年『静岡県立美術館コレクション選』、p. 104

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