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春峰晴煙図
作品名よみ | しゅんぽうせいえんず |
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作品名(欧文) | Spring Mountain with Mist |
作者 | 村上華岳 |
種別 | 日本画 |
受入番号 | 1060 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | J-266 |
員数 | 1幅 |
形状 | 掛幅装 |
寸法(cm) | 43.7×60.9 |
材質 | 紙本淡彩 |
材質英文 | Slight color on paper, hanging scroll |
制作年(西暦) | 1928 |
制作年(和暦) | 昭和3 |
記銘、年紀 | (左下)「華岳画」 朱文重廓長方印『華岳』 |
受入年度(西暦) | 1994 |
受入年度(和暦) | H6 |
受入方法 | 購入 |
キーワード | 風景、京都 |
解説 | 淡藍(淡い水色)の下地に、春霞につつまれた山容を描く。すなわちその山肌には、独特の、ふるえるような淡墨描を幾重にもひきかさね、さらに、部分的に青墨や古代朱(うすい茶色)をにじませることによって、画面に一種の幽艶性をもたらしている。 病を得て京都を離れた華岳にとって、「山(あるいは山水)」は、大きな意味をもつ主題となるが、本作は、中国の白描画を意識したかのような細緻な筆をかさねつつ、清澄な山の姿を描いた《松山雲煙》(1925・大正14)と、たっぷりとした運筆や滲みの効果によって、山の聖性や妖気さえも描き出している《夏の山》(1931・昭和6)や《春山晴鶉図》(1932・同7)などの後年の作品群の間に位置する、様式転換期の興味深い作品である。 こうした「山」を描いた作品群において深められていった、象徴的な表現手法と精神性との相剋は、晩年、他の主題においても深いものとなり、《太子樹下禅那之図》(1937-38・同12-13)や《秋柳図》(1937・同12)などの秀作を生み出してゆく。 その意味で、画面を柔らかな線描による山容によって構成した本図は、昭和初期の作であるものの、以後大きな展開をとげてゆく華岳の画業を予兆させる作品であり、今後、改めてその画業における意味を問われるべき存在である。 (当館旧ウェブサイト 作品解説より) |