墨田川春景図

作品名よみすみだがわしゅんけいず
作品名(欧文)Bank of Sumida River in Spring
作者歌川広重
種別日本画
受入番号1001
枝番号0
分類番号J-256
員数1幅
形状掛幅装
寸法(cm)17.4×30.0
材質絹本着色
材質英文Color on silk, hanging scroll
制作年(西暦)19世紀半ば頃
制作年(和暦)江戸時代後期
記銘、年紀(右下)「広重画」 白文長方印『弌立斎』
受入年度(西暦)1993
受入年度(和暦)H5
受入方法購入
キーワード風景
解説墨田川沿いの春の夕景を描いた作品である。
墨田川の河畔には松樹が連なり、所々満開の桜が咲き乱れている。
画面中央右寄りにはひときわ大きな松樹が描かれている。松葉は墨で描いた後、緑、藍色が施されており、鮮やかな彩色が観る者の目を引く。桜の花弁は、ほんのり色づいたピンクと白のグラデーションが美しい。墨田川には帆舟が二隻浮かんでおり、川沿いの街道の人影は細やかに描き込まれている。
画面後景の対岸には樹叢の中に家並みが描かれているが、樹叢を描く墨の濃淡表現によって空間の奥行きが作り出されており、右方に行くに従い小さくなってゆくモチーフの描写は、画面右方へと空間を広げる役割を果たしている。
藍、墨の微妙な色調の変化によって表された空は、春の夕刻の穏やかな空気感を巧みに表している。
本作の季節感あふれる情趣豊かな表現には広重肉筆画の特徴が良く表れている。
広重が得意とした江戸名所図の肉筆画の典型的な作例と言えよう。

※小林忠「歌川広重筆 墨田川春景図」(『古美術』九五 号 一九九〇年)

2016年『徳川の平和(パクス・トクガワーナ) ―250年の美と叡智―』、p. 216

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