嵐の海
作品名(欧文) | Seascape after a Storm / Naufrage |
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作者 | クロード=ジョゼフ・ヴェルネ |
種別 | 油彩画 |
受入番号 | 956 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | O-105 |
員数 | 1 |
形状 | 額装 |
寸法(cm) | 89.0×167.0 |
材質 | キャンヴァス、油彩 |
材質英文 | Oil on canvas |
制作年(西暦) | 1740頃 |
記銘、年紀 | (左下)J.Vernet |
受入年度(西暦) | 1991 |
受入年度(和暦) | H3 |
受入方法 | 購入 |
キーワード | 風景、西洋 |
解説 | ヴェルネが「難破船」という主題に着手した正確な年はわからないが、この主題との繋がりを説明するには、彼が17世紀のローマでながらく活動していたことを想い起こせば十分であろう。当時のローマは国際的な美術交流の中心であり、この都市に移り住んでいたパウル・ブリル、クロードロラン、ピーテル・ファン・ラールなどは、ヴェルネ以前にこの主題を取りあげていたからである。本作は18世紀の作品らしく、現実と空想を織り混ぜ構成されたもので、中景に配された円筒形の建築物はローマ市内にあるチェチーリア・メッテオの墓であり、遠方の岸辺はナポリ湾の眺めを連想させる。現存するヴェルネの他の作品が実例となるように、本作も2点ないしは4点で構成された連作の一つだったかもしれない。彼は一日の時間をいくつかのタブローで描き分けるという17世紀以来の伝統にしたがっていたが、そのやり方はもっと思い切りのよいもので、たんに朝夕の光の効果を対比させるのではなく、「静けさ」と「猛々しさ」を、つまり黄金色の日没の光に浸された長閑な風景と、難破船を飲み込もうとする嵐の海景を対比させたのである。無慈悲な自然の猛威を見せつけ、人間の悲劇的な最期を想像させる「難破船」は、18世紀後半に美の対立概念となっていた崇高に通じるモティーフと見られていた。 1996年『静岡県立美術館コレクション選』、p. 18 |