樹石図

作品名よみじゅせきず
作品名(欧文)Trees and Stones
作者鈴木鵞湖
種別日本画
受入番号855
枝番号55
分類番号J-198
員数1幅
形状掛幅装
寸法(cm)135.2×56.6
材質紙本墨画淡彩
材質英文Ink with slight color on paper, hanging scroll
制作年(西暦)1859
制作年(和暦)安政6
記銘、年紀(右上)「己未/鵞湖生」 白文楕円印『我古生』 白文長方印『南北一□』 (右下)白文長方印(遊印)
受入年度(西暦)1987
受入年度(和暦)S62
受入方法山下一郎氏寄贈
解説粗放な筆遣いで樹石を描いた作品である。
一本の枯木が二つの岩の間から伸長しており、根元で枝分かれし、画面上方へと枝を広げている。画面右方には竹が淡緑で描かれており、枯木に施された岱赭とコントラストを成している。樹幹には擦筆が用いられ、枝先を描く濃墨の鋭い筆線や、樹幹に掃かれた淡緑や茶とのメリハリの効いた対比が目に心地よい。荒々しい筆致による岩の輪郭線、煩瑣なほどに描き込まれた点苔の描写は、鋭利でごつごつとした岩の質感を表している。
本作のように、不自然なほどに歪曲し、形態が誇張された、写意的な要素の強い樹木を描くことは、たとえば李鱓《五松図》(東京国立博物館)のような作例が示すように、清代の花木図において流行した。本作に指摘したコントラストの効いた表現や荒々しい描写も、鵞湖が参照したと思われる、清代の樹石図に倣ったものであることを推定させる。文晁一派の花木図の展開を知るうえで興味深い作品である。

※伊藤紫織「鈴木鵞湖研究(1)」(『採蓮』一号 一九九七年)
 伊藤紫織 作品解説『鈴木鵞湖 幕末に活躍した郷土の画家』
  (千葉市美術館 二〇〇七年)

2019年『対立と融和―十九世紀の江戸画壇』リーフレット、p. 57

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