壁の修理
作品名よみ | かべのしゅうり |
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作品名(欧文) | Walls under Repair |
作者 | 鳥海青児 |
種別 | 油彩画 |
受入番号 | 848 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | O-089 |
員数 | 1 |
形状 | 額装 |
寸法(cm) | 79.5×116.0 |
材質 | キャンヴァス、油彩 |
材質英文 | Oil on canvas |
制作年(西暦) | 1959頃 |
制作年(和暦) | 昭和34頃 |
記銘、年紀 | (左下)Tyokai |
受入年度(西暦) | 1987 |
受入年度(和暦) | S62 |
受入方法 | 購入 |
解説 | 1958(昭和33)年6月、作者は三度目のヨーロッパ旅行を中断して沖縄へ行き、暫く絶えていた風景画の恰好のモティーフを得た。「沖縄は、気候の関係か、建物に、石が多いのです。民家の壁に亀裂が入ってそれが修理してあるのが、とても面白く、それだけで立派なモティーフになります。そのまま、ひとつのアブストラクトなのです。色は、ぼくの感じた色。これは、みたとたんきまってしまうのです。」(『芸術新潮』1959・昭和34年9月) 沖縄の家並を描いた二、三ある同種の作品のうち、本作は抽象的な完成度が最も高く、厚く塗りこめられた色面は、さながら壁を修理する職人が即物的に実感したであろう、量感と物質感に溢れている。それは「みたとたん」、触れたとたんに「きまってしまう」、日本流の直観的・情緒的な対象把握の美しい証例であるとともに、装飾的な構成とくすんだ色調を促す、底の深い精神性にも結びつく。本作の20余年も前に作者は、「一体日本に、油絵風景画が発達し得るものか。はたして日本の自然が油絵の素材として生かされ得るものか」と懐疑した。この作品は、後年の作者が日本固有の風土性をあくなく精神化することによって、それを油彩の素材となすにいたった苦闘を証すものである。 1996年『静岡県立美術館コレクション選』、p. 123 |