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富士山図

作品名よみふじさんず
作品名(欧文)Mt. Fuji
作者狩野探幽
種別日本画
受入番号838
枝番号0
分類番号J-149
員数1幅
形状掛幅装
寸法(cm)56.6×118.4
材質紙本墨画淡彩
材質英文Ink with slight color on paper, hanging scroll
制作年(西暦)1667
制作年(和暦)寛文7
記銘、年紀(左下)「法印探幽行年六十六歳筆」 朱文瓢印『筆峯』
受入年度(西暦)1987
受入年度(和暦)S62
受入方法購入
キーワード静岡、狩野派、風景、富士山
解説探幽の富士図は、18世紀の桑山玉洲らの称賛にみるように、探幽以後の時代にも注目され、富士図の典型として認識されていた。探幽自身、この主題に特につよい関心を傾け、数多くの富士図をのこしている。なかでも、探幽が66歳のときに描いた本図はとくにすぐれた作品であり、淡墨・淡彩を基調とする安定した画面構成、紅葉や寺院、さまざまな人物、牛馬、鳥などの細やかな点景描写が,繊細で叙情をたたえた絵画空間を生み出している。
日本平方面から富士を清水港ごしに望み、左方に清見寺、右方に三保松原を置くという図様は、雪舟の富士三保清見寺図の図様を継承するもので、柔らかな筆致による雲煙や山々などの表現は、室町水墨画の相阿弥や大和絵の学習に基づいている。しかし探幽は、それら伝統の学習にとどまらず,遺存する風景スケッチに集約されたような実景の観察を本図に生かしており、本図は、自然に接した実感にあふれている。その探幽の実感とは、富士三保松原の実景に、瀟湘八景や蓬莱山(その象徴としてのツルが描き込まれている)など、理想的な風景のイメージを重ねて見るものであった。
このような探幽の制作態度は、大雅ら南画家たちの真景図制作における基本杓な態度に通じるものであり、探幽の富士図は、やがて南画家たちの共感を呼ぶこととなる。このことは、本来的な意味の真景図が、探幽から南画家へと展開していることをしめすものとして、ことに注目しなければならない。

(当館旧ウェブサイト 作品解説より)

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