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風化儀式V-相関体

作品名よみふうかぎしきⅤ そうかんたい
作品名(欧文)Weathering Ceremony V - Correlation
作者鈴木久雄
種別彫刻
受入番号766
枝番号0
分類番号S-016
員数1
形状立体
寸法(cm)H. 230
材質白御影石、コールテン鋼、ワイヤーロープ
材質英文White granite, corten steel and wirerope
制作年(西暦)1986
制作年(和暦)昭和61
受入年度(西暦)1985
受入年度(和暦)S60
受入方法購入
解説円錐状に積まれた白御影の石塊を横に貫いてコールテン鋼板が走り、粗石ともどもワイヤーロープが堅く締めあげている。1985(昭和60)年の第4回ヘンリー・ムア大賞展(美ヶ原高原美術館)でジャコモ・マンズー特別優秀賞を得た鋼板が縦に走る《風化儀式Ⅳ》のヴァリエーションである。石と鉄という異なる素材の形態と材質とのせめぎあいが緊迫感あふれる造形を生み出しているが、一方これら最も基本的な素材が、刻々に流れゆく時間の中で自然の気象変化に身をさらし、苔や錆を帯び、やがて腐蝕し瓦解するであろう時、自然と対立して生まれた石と鉄の寡黙な構築物は、むしろ自然と融合した永遠性を獲得することになるのだろう。石と鉄の、そして時間と空間の相関性において成就される「風化儀式」の完了する時が、この作品の完成する時なのであり、作者は素材の物質性を見すえ、ローブが弾けて断ち切れる年数さえ計算している。-一ところで、作者は本作に富士山をイメージしたようである。「山は外観する量と同じ量を地下に備え、その量が生む浮力によって地殻のマグマの上に浮いている、という話を聞きます。とするとあの秀霊な富士山も、地殻に向って巨大な量の楔を打ち、その浮力をもって壮大な容姿を保っていることになります。……私は富士山を作りたいと思います。」(1986年、当館へのメッセージ)その意味で本作は、彫刻の作品構造そのものにおける「風景」表現の可能性を提起した作であり、また構築された作品と対象の「実寸」感覚の問題、すなわち大きさの絶対値に関する作者の最近の課題を導いた点でも、その後の展開の上で意味のある作品となった。

1996年『静岡県立美術館コレクション選』、p. 163

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