上高地の春
作品名よみ | かみこうちのはる |
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作品名(欧文) | Kami-kouchi in Spring |
作者 | 吉田博 |
種別 | 油彩画 |
受入番号 | 748 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | O-069 |
員数 | 1 |
形状 | 額装 |
寸法(cm) | 80.5×116.8 |
材質 | キャンヴァス、油彩 |
材質英文 | Oil on canvas |
制作年(西暦) | 1927 |
制作年(和暦) | 昭和2 |
記銘、年紀 | (左下)H. Yoshida |
発表展 | 第8回帝展 |
開催年 | 1927 |
受入年度(西暦) | 1985 |
受入年度(和暦) | S60 |
受入方法 | 購入 |
キーワード | 風景 |
解説 | 南安曇郡安曇村の上高地徳沢園の南側、梓川辺より前穂高岳、同北尾根、茶臼山を描く。雪庇崩壊を見て取れる稜線、残雪に未だ埋まった渓谷、緑を成し始める前景の草原等が細やかな筆触で描写されている。俗麈を離れた静寂な風景画を得意とした作者の作風をよく示すと共に、第8回帝展出品作として、堅実な写実という当時の官展風景画の主傾向もまたよく表している。更に作者は後に日本山岳画協会を結成した事からも知られるように、アルピニストとして山岳を客観的かつ克明に観察する眼を持った人であった。画中の季節感や寂寞感に日本人の伝統的で調和的な自然感、あるいは自然と自己の一体化・同一視といった感覚を多少残しながらも、本作品の厳しい山容や天候急変を予想させる大気の表現には、作者自らが明治期の水彩画興隆の中で、あるいは渡欧帰朝者としての発表活動の中で、その変革に関わってきた近代的な風景画の成立と山水からの訣別、自然と対峙し分析しようとする自己の存在を前提とした新しい自然観への移行が、見事に語られている。 1996年『静岡県立美術館コレクション選』、p. 111 |