ヴァンパイア
作品名(欧文) | Vampire |
---|---|
作者 | エドヴァルド・ムンク |
種別 | 版画 |
受入番号 | 734 |
枝番号 | 0 |
分類番号 | P-078 |
員数 | 1 |
形状 | マット装 |
寸法(cm) | 38.5×56.3 |
材質 | 紙、色彩リトグラフ、色彩木版 |
材質英文 | Color lithograph, color woodcut on paper |
制作年(西暦) | 1895 - 1902 |
記銘、年紀 | (右下鉛筆)E Munch |
受入年度(西暦) | 1984 |
受入年度(和暦) | S59 |
受入方法 | 購入 |
キーワード | 西洋 |
解説 | ヴァンパイア(吸血鬼)は、1893年以来ムンクが手がけ続けたモティーフで、パステル、素描、油彩、版画など多数の作例がある。その版画化はまず、1895年に単色リトグラフで試みられ、手彩色版を経て、リト石2枚と鋸で三分割された木版の組刷として完成された。ムンクは生涯に800以上の版画をイメージ化し、遺品に17,000もの版画を残した。また種々の技法実験を通じて、「芸術は結晶化を求める人間の衝動だ」という造形埋念の追求に努めた。---けれどもムンクの「結晶化(Kristallisation)」理念は、間断ない様式純化の範囲に止まるものではない。「死は生の開始であり、新たな結晶化の開始である。……骨壺から再生が生じる」と自ら述ぺているように、生に対する破壊的要素は逆に自己のメタボリズム(再生)=結晶化の契機と考えられていた。したがってここに見られる、赤髪の女が男の項の血を吸うという世紀末的な破壊的モティーフも、ムンクにとって「地上の汚穢の彼岸」にいたる触媒だったのである。本図の男は初めフィンランドの作家アドルフ・パウルがモデルだったが、やがてムンク自身の横顔に変えられたのも、“闇と光”のアンビバレント(二元価値的)な状況設定を自己救済の場と見なす、ムンクの追及の執拗さを物語っている。 1996年『静岡県立美術館コレクション選』、p. 43 |