東京小梅曳船夜図

TitleTowing the Boat Home in the Evening, Koume, Tôkyô
作家/ Artist小林清親 KOBAYASHI Kiyochika
制作年明治9年
Date1876
寸法/ Size(cm)25.5×38.4
技法・材質多色摺木版・紙
MediumColor woodcut on paper
分類版画
ClassificationPrints
作品番号/ Accession NumberPRZ0314000
作品解説1876(明治9)年、清親は版元松木平吉より、光線画と称される5枚の風景版画を出版した。同時代の絵師たちが、江戸浮世絵版画の伝統的な表現方法を踏襲し、あるいは毒々しい色彩の輸入絵具を使った開化絵で活路を見出そうとしていた時期に、清親は光と影に着目し、時々によって微妙に変化する自然の光と影の織り成す情景を見事に表現した。それは、ヨーロッパから日本に印象派の表現が紹介されるよりも前のことである。暮れなずむ空、雨に煙るガス灯、川面に揺れる月の光など、未だ江戸の風情を残す東京の街を、繊細な色調の中に情感豊かに描いた光線画は好評を博した。この5枚の版画には、画面の欄外に御届年月日、出版元、和題名のほかに英文の題を付したものがあり、西洋への輸出を目して作られたといわれている。
この作品はその5枚の内の一つで、川を下った船を上流へ曳いて戻る船頭夫婦を描いている。シルエットで描かれた背景とは対照的に、画面中央を流れる川と夫婦の顔が月光を受けてくっきりと浮かび上がる。夫婦は声を掛け合うように向かい合い、一日の仕事を終え、静かな夕暮れを迎えた風情が漂っている

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