風間 完 画
スパイ"M"の謀略
よみがな | スパイ”゛M”゛ノボウリャク |
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解説 | 非合法時代の日本共産党中央委員会の幹部にして、特高警察のスパイ。地下活動を指導しながら、次々と同志の党幹部を売り渡し、党を壊滅の瀬戸際に追いこんだ男。松村昇、峰原暁助、ヒヨドロフなどの偽名や変名を使い分けながら、最後まで同志にさえ経歴や本名をつかませなかった、たぐいまれな謀略の才能の持主。歴史の闇に消え、日本共産主義運動史上最大の謎とされた「スパイM」の足跡を、松本清張は「昭和史発掘」で初めて詳細に解き明かして世を驚かせた。 「スパイM」、通称松村の本名は、飯塚盈延。彼が当時の特高警察とともにシナリオを書き、日本共産党を危地に追いこんだ最初の″成果″が、昭和7(1932)年10月に東京で発生した大森銀行ギャング事件である。川崎第百銀行大森支店へ拳銃強盗に押し入った犯人が共産党員だったことは、党も資金に困ってついに銀行強盗を働くようになったかと、世に大きな衝撃と恐怖感を与えた。 松村は次いで同月末の党全国代表者会議での、当局による一斉手入れを手引きした。やがて党員の住所や連絡場所の準備と、非合法活動による資金調達を指揮する党家屋資金局を握り、中央委員のポストに登りつめていった。 あるときは仲間を特高に売り、またあるときは特高を手玉にとった松村は、スパイ活動が発覚しそうになると突然姿を消し、再び現れることなくその人生を終えた。 (「昭和史発掘」?) |
作品名 | 昭和史発掘 |