悲しみのマリア像

登録番号117
資料群名S54購入51
年月日(17世紀初期)
数量1面
法量縦42.2 横32.5
指定仙台市指定文化財
備考・解説台の上に立った聖母が天上のキリストを凝視して祈りを捧げている。円錐形の真紅のドレスも、頭からかぶった暗緑色のマントによって華やかさがしずめられ、聖母の悲しみに満ちた表情にとけこむ。祈る手の胸元には、よく見ると短剣が突き刺さっている。キリストを失ったマリアの悲しみを扱った聖画は、江戸時代の日本にも幾種類か伝来しているが、本図はその中でも特に劇的に表現した作例である。服飾の様式がファチンゲールと呼ぶ独特のものである点と、天使や幕の描法から、本図は17世紀初頭、スペイン系の作品と考えることができる。本図の伝来については、会津松平家の所蔵と伝える以外の記録は見当たらないが、17世紀初期にもたらされたなら、苦難に満ちた東北のキリシタンを導いた代表的な聖画となるものである。『仙台市博物館館蔵名品図録 改訂版』70、『特別展図録 伊達政宗の夢ー慶長遣欧使節と南蛮文化』214。

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