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山水図屏風(宇治・須磨図)

資料番号1987-008
資料名山水図屏風(宇治・須磨図)
著者・作者土佐光起
員数6曲1双
制作年代江戸時代
解説土佐光起(一六一七~九一)は堺に生まれた絵師。一八歳の時、父の光則とともに堺から土佐家の古巣の京都に戻り、その後三八歳で宮廷絵所預に復帰した。土佐家中興の祖とされる。
本作には「土佐左近将監光起図」の署名と「光起之印」の白文方印があり、絵所預に復帰後、六五歳で剃髪して常昭と名乗るまでの作とわかる。「宇治・須磨図」と呼称されてきたものであり、右隻は芝舟や柳などのモチーフから宇治の川辺が、左隻は帆掛け船や汐汲み、月などから須磨の海岸が想起される。しかしモチーフのみから言えば、「須磨図」は明石も連想させ、「宇治図」は遠景の山並みが比叡山を思わせることから琵琶湖を描いた可能性も考えられる。特定の名所というより、様々な和歌や物語をイメージさせる普遍的な情景を描いたと考えるべきであろう。
・実方葉子「土佐光起の「色」と「墨」―須磨明石図屏風を中心に―」(『美術史』四七号 一九九七年)
・『優品図録』
(『堺市博物館所蔵品図録 屏風編』より)

『堺市博物館優品図録』『堺市博物館所蔵品図録 屏風編』に掲載

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