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歌蒔絵香箱

資料番号1986-037
資料名歌蒔絵香箱
員数1合
制作年代寛永18年
解説箱書に「十炷香箱」とあり、十種香に用いる諸道具が収められていたと思われるが、懸子を残してすべて失われている。蓋表と各側面に、植物と人物を組み合わせた絵画的な図柄と、図柄に合った歌が蒔絵で表される。四首は古今集などから選ばれた古歌であるが、柴を運ぶ人物の図に記された一首は、隆達節の草歌として知られるもの。「荷負ひ」と「匂ひ」を掛けており、洒落が効いている。
この歌には「太政大臣太閤秀吉の時代、慶長元年頃の小歌」と書き添えられているのが注目される。本作の注文主には、隆達節のメロディーとともに太閤秀吉の時代が懐かしく思い出されたのだろうか。蓋の裏には、「丸に桔梗」と「団扇形根竹」の二つの紋と寛永18年2月吉日の年紀があり、これらを家紋とする両家の婚礼調度かと想像されるが詳細は不明である。

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